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治具を使ったUVインクジェット印刷

弊社のUVインクジェット機はフラッドベッドというタイプです。
これは、材料をインクジェット機の平らな金属製の台に置いて印刷するものです。
この金属の台の大きさですが、弊社ではUVインクジェット機が二台稼働しているので、それぞれ、大きい方の機械は約800×580mm、小さい方の機械は約680×470mmです。
そして、印刷することのできる最大面積は、それぞれ、710×510mmと600×420mmです。
この台の上にさまざまな材料を置いて印刷します。
印刷が始まると、この台の上をヘッドと呼ばれる装置が左右に直線的に往復運動をしながらインクを噴射していきます。
そして、印刷対象物を置いてある台そのものもヘッドが一往復するごとに、少しずつ手前に位置をずらすので、結果、台の上においた材料に対して、ライン状に順番に絵柄が印刷されるという仕組みになっています。
このラインがつながって、印刷するパターンが完成します。
パターンを物に印刷する時、材料に対してどの位置に印刷するのかが大変重要です。
樹脂成型品等の様に、すでに加工の終わっている材料に印刷する場合などでは、高い精度が求められ、0.1ミリ単位での位置調整が必要なこともあります。
このような場合、人が手で材料を台に置くことで得られる位置精度には限界があるので、なんらかの方法によって、位置精度を確保することが必要です。
また、小ロット印刷が得意なインクジェット機の場合でも、時には数百~数千といったロットで印刷することもあります。
となると大変なのが、インクジェット機の台の上の決められた位置に正確に、しかも複数個を同時に、印刷したい物を置くということです。
数個であれば、アタリ線をインクジェットで直接台に描いておいて、それを目安に慎重に置いて印刷するということも可能です。
しかし、百個を超える様な数になってくると、いちいちその為の時間が必要になりますし、そこにかかるコストは大きくなってしまい、現実的ではありません。
そんな時に大変便利なのがジグ(治具)という道具です。
これは、インクジェット機の台の上に設置するもので、印刷する物を簡単に定位置に置ける様にするためのものです。
例えば、数十ミリ角で厚さ2mm程度のアクリル板に印刷するとします。(企業向けの名札等でよく印刷する様なものです。)
その時使うのは、正確に穴と外形が加工された500~600ミリ角程度の大きさで、厚さ0.5mmのステンレス板製のジグです。
そのステンレス板には、縦横にきれいに並んだ長方形の穴が開いています。
このステンレス板をインクジェット機の定位置に置いて使います。
四角の穴の位置、そして外形の位置と大きさは、ジグの設計時に決定しているので、その正確な寸法もわかっています。
その治具を、インクジェット機の台の正確な位置にあけられたネジ穴を利用して、定位置に固定することができます。
印刷台に何か所かあけられたネジ穴の位置は、インクジェット機メーカーにより公開されているので、治具の固定に使うネジ穴を決めて、それと治具を加工する際に開ける穴の位置を合わせることにより、治具の中にあけられた材料用の穴の位置を正確に知ることができるのです。
その穴の2辺に合わせて材料のアクリル板を置けば、自ずとアクリル板はインクジェット機の台に対して定位置に置くことができます。
そうすれば、インクジェット機に送るデータの中でどの位置に印刷データを配置すれば良いのかがわかるという具合です。
一旦、治具を印刷台に固定できれば、そこに合わせて置いた材料の位置も一定するので、もし印刷位置がずれていても、インクジェット機に送るデータの位置を補正すれば良いので、次からは正しい位置に印刷することができます。
また、ステンレス板のジグは、インクジェット機の台の大きさに合わせて目いっぱいの大きさで作ってあって、その中に四角のくりぬき穴もできるだけたくさん開けてあるので、穴の数だけ一度に印刷することができるというわけです。
もちろん、くりぬいた穴の大きさより、印刷するアクリル板が小さい事が条件になりますが、くりぬき穴の大きさは、経験上予想される多くの材料に対応できるような大きさにしてありますし、ステンレス板のジグそのものも様々な大きさの材料に対応できるように、複数枚用意してあります。
このステンレス板製のジグは、ジグとしては非常に単純なものです。
そして治具の中には、もっと複雑な形状のジグもあります。
例えば複雑な形状の樹脂成型品の部品を大ロットで印刷する様な場合は、NCといった工作機械で削り出した、その製品専用のジグを設計・製作し、使用することもあります。
ただし、治具の作成には、作り方にもよりますが、えてして大きな費用がかかります。
ロットがそれほど多くない場合、一回の注文ロットでその費用を回収できない場合もあります。
しかし、次回の注文も期待できる様な場合、最初は持ち出しであっても、治具を作成するばあいもあります。
いずれにしてもジグは、UVインクジェット機で印刷する物を、インクジェット機に対して定位置にくるように簡単に置ける様にするための、UVインクジェット印刷にとって、無くてはならない道具なのです

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