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新しい製版用フィルム(トレンドセッターとサーマルレーザーフィルムTRF-IR830)

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弊社では、2025.9.5に新しい製版用フィルムのシステムを導入しました。
米国はコダック社製のトレンドセッターと日本の三菱製紙が製造するサーマルレーザーフィルムTRF-IR830の組み合わせによる製版用フィルムシステムです。
トレンドセッターは、元々、オフセット印刷に用いるPS版をレーザーで描画するためのもので、今から15年以上前に開発された非常に高精度で信頼性の高い装置です。
そのトレンドセッターを使って描画できるフィルムを、今からおよそ4年前に三菱製紙とコダックが共同で開発したのが、TRF-IR830です。

トレンドセッターは寸法精度が非常に高く、1000mmの描画に対して誤差±25μmとなっています。
その装置を使っているので、描画時の寸法精度は全長で±25μmです。
トレンドセッターの最大の特徴であるスクエアスポット技術は、描画パターンを構成する最小描画ドットの形状が、スクエアすなわち方形に描画されるというものです。
この技術によりレーザースポットの形状が方形となり、そのレーザーで描画されるドットも方形となります。
これにより、描画されるパターンの端面が非常にシャープに仕上がるのです。

それに対して従来のフィルムイメージセッターの最小描画ドットの形状は円に近く、またその形状も不規則なものとなるので、そのドットで構成されるパターンの端面もあまりきれいではありません。
もちろん、それは2400dpiや4000dpiといった人の目には判別できないミクロな世界での話なのですが、シルクスクリーン印刷等であっても、細かな文字やパターンにおいては影響があります。
また、トレンドセッターとTRF-IR830の組み合わせによるものは、ドットそれ自体の端面がきれいなので、そのフィルムのパターンで焼かれた版の端面もきれいに仕上がります。
このように、トレンドセッターとTRF-IR830の組み合わせによる製版フィルムは、従来の銀塩方式のイメージセッターには無い高い性能を有していると言えるでしょう。

また、このトレンドセッターとTRF-IR830の組み合わせによるシステムは、従来の銀塩方式とは異なり、現像、定着、水洗、乾燥といった薬液による処理が不要で、環境に非常に優しいシステムと言えます。
これは、レーザーの照射と同時にパターンの黒化が起こるもので、その後の処理は全く必要ありません。
この環境に優しいという特徴も、これからの時代に要求される大きな性能と言えるのではないでしょうか。

公開:2025.10.31

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