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PCのキーボードの文字が消えてる箇所にインクジェット印刷してみた

PCキーボードに印刷_アイキャッチ画像

印刷チャレンジ 〜Vol.10〜【PCキーボード編】
パソコンのキーボードの文字が消えてしまった経験、ありませんか?
長年使っていると、よく使うキーの文字が擦れて読めなくなってしまうことも。
今回はその消えた文字を、UVインクジェット印刷で“復活”させることができるか試してみました。
素材の凹凸や角度の問題をどう乗り越えたか、印刷現場ならではの工夫も含めて詳しくご紹介します。

キーボード印刷に挑戦した背景と現状

印刷対象は長年使用したキーボード

今回は、社内で実際に使用しているパソコンのキーボードを使用しました。
このパソコンは数年にわたって毎日のように業務に使用されており、アルファベットキーには明らかな摩耗の跡が見られます。
とくに「N」と「M」のキーは、表面の文字が完全に消えかけている状態でした。
文字だけでなく、キーキャップそのものも若干艶が抜け、使い込まれた雰囲気を醸し出しています。
このような「毎日使うものほど消耗しやすい」という問題は、多くのビジネスユーザーや在宅ワーカーにとっても共感されるポイントではないでしょうか。
だからこそ、今回のように印刷によって視認性と機能性を“再生”できるかどうかを検証することには、実用的な意味も大きいと考えています。

PCキーボードに印刷_素材

キーの文字が消える原因とは?

キーボードの印字は通常、シルク印刷やパッド印刷、またはレーザー彫刻で加工されています。
ただし、素材や加工方法によっては長期使用により摩耗し、手の皮脂や摩擦で文字が徐々に消えてしまうことがあります。
特にアルファベットキーやエンターキー、スペースキーなどは劣化が顕著です。

印刷前の準備と下処理

「N」の若干残っている文字を一度リセット

「N」のキーには、少し元の文字が残っている状態でした。
一見すると印刷が可能にも思えましたが、実際にはこの“残留印字”が新たな印刷の障害になることがわかっています。
具体的には、既存の文字にわずかな段差が生じているため、上からそのまま印刷するとインクの乗りが不均一になったり、視認性が損なわれたりするリスクがあるのです。
また、ホワイトインク等を使用する場合、素材表面の凹凸や余計なインク成分が原因で、にじみやズレ、色ムラが発生する可能性も高まります。
そのため今回は、まずこの「僅かに残った文字部分」を完全に除去することから作業をスタートしました。
アルコールで拭くことで既存の印字跡もなくなり、UVインクジェット印刷に適した“フラットで清潔な下地”を確保することができました。
この工程は地味ながらも仕上がりに直結する非常に重要なポイントであり、印刷前の下地処理の丁寧さが品質の明暗を分けることを実感させられます。

PCキーボードに印刷_N消し

斜めのボタン面を水平に保つための工夫

PCのキーボードはキーが平面ではなく、わずかに傾斜がついています。
このわずかな角度の違いが、印刷ヘッドとの距離に影響を及ぼすため、治具を使って水平状態を確保しました。
これによりインクの吐出が均等になり、シャープな仕上がりが可能になります。

いざ、印刷開始!

印刷データはIllustratorでシンプルな「N」「M」を用意し、実寸で配置。
文字サイズは既存キーの他のアルファベットと揃えることで、自然な仕上がりを目指しました。
UVランプによる瞬間硬化が行われるため、乾燥待ちもなく、その場で触れる仕上がりとなります。

keyboard_printing_start

PCキーボードに印刷_印刷中

印刷の仕上がりと耐久性

見た目は新品のように復活!

「N」「M」ともに、見事な発色で復活しました!
印刷位置もズレることなく、他のキーとの違和感も少ない仕上がりです。
さらに、インクの厚みや艶感も他のキーと近づけるよう調整を行いました。

keyboard_printing_finished

PCキーボードに印刷_完成

指でこすっても剥がれない?強度確認

仕上がりチェックとして、印刷後24時間の硬化時間を経てから、実際に爪でこすってみたりテストを行いましたが、
簡単には剥がれない強度を確認できました。
頻繁に触れるキーボードで実用に耐える耐久性が確認できたことは、大きな成果です。

なぜUVインクジェットで試したのか?

UVインクジェットは、即時硬化による高い密着性と細線再現性に優れた印刷技術です。
キーボードのように小さな凹凸がある素材にも、にじみやズレを抑えて高精度で印刷できます。
特に以下の点で有利です。
・乾燥を待たずに使用できる
・細かい文字にも対応可能

次回チャレンジしてみたいアイデア

今回の成功を受けて、次回は以下のような実験も検討中です。
・全キーにオリジナルフォントやアイコンを印刷し、デザインカスタムを実現
・透け感のあるキーキャップに内側から逆文字印刷(光で浮き出る効果を狙う)
・「Ctrl」や「Enter」などの機能キーにイラストを印刷して直感的なデザインへ
こうした“遊び心”のある実験も、インクジェットならではの柔軟性で実現できます。

まとめ:インクジェット印刷で身近なアイテムも再生可能!

今回の「消えたキーボード文字の印刷復活」チャレンジは、素材や角度といった課題を乗り越え、実用的なレベルでの復元に成功しました。
UVインクジェット印刷の応用範囲は、こうした身近なアイテムにも広がっており、ちょっとした修復からオリジナル加工まで、可能性は無限大です。
印刷技術の魅力をもっと身近に感じていただけるよう、今後も様々なチャレンジを発信していきます。
「こんなものに印刷できるの?」という素朴な疑問も、ぜひお気軽にお寄せください。
>インクジェット印刷の詳細はこちら

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