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インクジェット印刷における位置合わせ

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フラットベッド機によるUVインクジェット印刷では、樹脂成型品や金属製の部品等、立体的な形のあるものに対して印刷する場合が多くあります。
その時に大事になるのが位置合わせです。
樹脂や金属の部品であれば、印刷パターンを外形や穴、成形の形状に対して文字を所定の位置に印刷しなければなりません。
小さな部品であれば、0.1mm単位での調整が必要な物もあります。
弱電製品の部品等の場合、注文のロットが数十個から時には千個を超える様な場合もあります。
それら全てに対して高い位置精度での印刷を保証するのは、手作業では無理があります。
そんな時は、複数個を同時に印刷するために治具と呼ばれる物を製作します。

これは、その部品の形状に合わせて、その部品を決められた位置に簡単に置ける様にするための物で、樹脂や金属を加工して作ります。
この治具をフラットベッドの台の上にネジ等を使って正確に固定することにより、フラッドベッド上での複数の部品の位置を正確に定めることができるのです。
理屈ではそうであっても、治具の加工精度の問題や、インクジェット機の寸法精度の問題、部品と治具との位置精度の問題があり、パターンの位置合わせはなかなか一筋縄ではいきません。
なので、インクジェット機に治具を固定した後、その上に本番の印刷時と同じように部品をセットした状態で、部品に薄い半透明のシートを貼り、その上から試し印刷を行うことでパターンが正しい位置に印刷できているのかを確認することになります。

もしそこで修正が必要であれば、正しい印刷位置からのずれを測定し、その数値をフィードバックして位置修正したデータをインクジェット機に送って半透明シートの上から再度印刷し、確認を行います。
それを複数回行うことにより、初めて本番の印刷を行うことができるようになるのです。
一度使った治具は、再度同じ注文を受けた時の為に大切に保管しておかなければなりません。
治具の設計には、治具の材質や加工方法、印刷時の作業性、治具を製作する為のコスト等、とても多くの要素があるので経験が必要です。
印刷できる盤面いっぱいに治具を作れば良いようにも思われますが、それでは治具製作のコストが上がりすぎる場合もあります。

また、一度に印刷できる個数が多すぎると、かえって作業性が悪くなる場合もあります。
そしていくら良い治具ができても、印刷物のコストに見合わなければ意味がありません。
逆に、簡単に安くできたとしても、その仕事が終わるまで全ての印刷物に正確な位置合わせの保証ができるような精度と耐久性がなければ使い物になりません。
印刷対象物とその印刷内容、印刷個数と言った情報から、今までの経験に照らし合わせてベストな組み合わせと思われる方法と材質を選ぶ必要があります。
そして、可能であれば治具のプロトタイプを作って確認し、本番の治具の製作にとりかかるような手順も必要となります。

公開:2025.11.25

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