製版用フィルム作成の時の作業なのですが、扇形展開(せんけいてんかい)というのがあります。
これは、化粧瓶等の印刷で、印刷物の形が円錐状になっている場合、その側面に印刷するパターンを作るための作業です。
メーカーから支給される印刷データは、平面上にレイアウトされているので、そのまま円錐状の瓶等に印刷すると、不自然なレイアウトになってしまいます。
これをデータ上で円錐の側面に沿った形にレイアウトしなおすのです。
まずは対象となる印刷物を実測し、その円錐を平面に展開した場合の展開図をデータ上に描きます。
そして、実際に印刷された場合を見越して、パターンをレイアウトする高さや範囲を決めます。
その展開図に沿って文字や絵柄を配置していくことになるのですが、文字であればテキストを一行一行流し込む形でレイアウトしていきます。
絵柄の場合、パターンが大きい時はイラストレーターの変形の機能を使って扇状に変形する場合もありますが、パターンが小さい場合はそのままの形状で、位置や向きのみを展開図に沿った位置に配置します。
この様にしてレイアウトしたパターンをイメージセッターで製版フィルムに描画し、納品します。
お客様はこの製版フィルムで製版したシルクスクリーン版を使って印刷するのですが、あくまで印刷物が自然に見える様に印刷するのが目的なので、実際のところは瓶等に印刷してみるまで結果はわかりません。
計算による展開図に対してレイアウトしているので、理屈ではちゃんとレイアウトされているはずでも、人間の見た目が理屈通りとは限らないからです。
今までの経験では、理屈通りにレイアウトすれば、おおむね見た目にもOKなのですが、展開が極端になってしまう場合などは、ちょっとした匙加減も必要になってきます。
また、この展開作業はとても手間と時間のかかる作業なので、なるべく簡単に終わらせないと、コスト面で厳しくなってきます。