先日、弊社のお客さんからご紹介いただいて、ある業者さんと面談しました。
その業者さんは、現状でUVインクジェット印刷の外注先をお持ちで、仕事を出されているとのことです。
ただ、納期対応や品質面で少しご不満をお抱えの様で、他の外注先をお探しとのことでした。
お話を伺うと、現在使われている外注先さんは、キャラクター物の印刷などをメインにされているとのことで、今抱えている樹脂成型品の部品に対する印刷とは、ちょっと違った種類の仕事が得意分野の様です。
その外注先さんは、見積り段階で、一度に70個程度を印刷するような条件で価格を出されていたようなのですが、蓋をあけてみると、樹脂成型品の部品に対する印刷は、位置検討精度がシビアで、とても70個を一度に印刷できるような仕事ではなかったそうです。
実際には、70個印刷では歩留まりが悪すぎて、結局一度に20個余りで印刷されているとのことで、再見積もりと相成りました。
当然、一度に印刷できる個数が減ると、印刷の単価は上がります。
また、先程書いたような納期や品質の問題もあったので、他を当たってみようと思われたらしいのです。
私は、その実際の品物を見て説明を聞きながら「そうなるやろうなあ」と思っていました。
というのも、印刷位置のシビアな製品のUVインクジェット印刷で、私たちも何度か痛い目にあっていたからです。
インクジェット印刷機のメーカーは、きれいな絵を印刷することには各社しのぎを削っていますが、寸法精度や寸法再現性、印刷位置の再現性には、そこまで追求されていないのが現状です。
(もちろん、いい加減に作られているのではなく、最も重要視されている機能が何か、という話です。)
なので印刷位置がシビアな製品の見積もりは、これぐらいの精度が要求される様な仕事なら、一度に印刷できる個数はこれぐらいまでということも考慮に入れる必要があります。
また、連続に印刷するのならそれほど問題にはならないのですが、治具を装着しなおしたり、印刷する日をあけた場合などには、再度印刷位置の調整から入らないといけないことも良くあります。
それともう一つの要素として、UVインクジェット機だけでなくインクジェット機は一般に、ヘッドの不調は何の前触れもなく、印刷途中に突然発生することがままあります。
印刷途中でそれが発生すると、一旦、印刷が終わるまでそのことがわからないので、一度の印刷個数が多いと、一度にたくさんの不良を出すことになってしまいます。
印刷が2工程以上だったりすると、全数アウトということにもなりかねません。
なので、そのリスクも考えて、一度に印刷する個数を決める必要があります。
このように、単純に一度に印刷可能な個数からはじき出される見積もり単価だけでは比較できない要素が、インクジェット印刷には多々あるのです。