UVインクジェット印刷では、様々な形状の物に印刷します。
印刷する物の数が少ない場合は、インクジェット機の台の上に当たりのラインを印刷し、目見当で物を置いて位置決めをするのですが、印刷するロットが数百を超えると、生産性の面からそうも言ってられません。
そんな時は、治具(ジグ)を製作することになります。
ジグとは、印刷台の定位置に設置するもので、印刷する物の形状に合わせて、簡単に品物を位置決めできるようにするものです。
UVインクジェット印刷に限らず、大量の物の決まった位置にパターンを印刷する場合は必ずといっていいほど必要になります。
先日、複雑な形状をしたABS樹脂製の成型品にUVインクジェット印刷を行う仕事がありました。
物のサイズは約200×240×40mm。
ロットは初回で300台。
弱電製品の筐体の表面に使われる部品と思われましたが、実際何になるのかはよくわかりませんでした。
幸い部品の裏面(印刷面の反対側)を水平な台に置くと、やや傾いてはいるものの、印刷面が水平に近い状態になる品物でした。
弊社のインクジェット機の印刷サイズだと、4個一度に印刷できる大きさだったので、4丁付けのジグを製作することにしました。
今回は費用的な問題もあって、治具そのものを外注するのではなく、治具を専門に製作している会社にジグに使う部材だけを注文し、実際に印刷するUVインクジェット機で当たり線を引いて、それに合わせて部材を両面テープで貼り付けるという方法で製作しました。
実際に印刷するUVインクジェット機を使って当たり線を引くので、位置見当精度は自ずと良くなります。
この方法の利点は、実際の印刷での位置調整が比較的楽にできることです。
治具を外部の業者さんに製作してもらうと、それ自体の寸法精度が出ていても、実際のインクジェット機の寸法ときっちり合うとは限りません。
ただし、両面テープを貼り付けた部材を目見当で当たり線に合わせて貼り付けるので、位置決めに直接関わる部材の貼り付けには神経を使いました。
当たり線は太さ0.05mmの設定で台となる板に印刷しておき、拡大眼鏡をかけて慎重に部材を貼り付けました。
実際に試し印刷を始めてみると、位置調整の必要もほとんどなく、十分な位置見当精度が得られて、スムーズに印刷することができました。